小袖 その2
 小袖とは、十二衣重などに見られる袖口が下の方まで大きく開いた大袖口の着物に対して、小袖口であるという意味で、本来は下着でありました。それが表着として着用されるようになり、次第に現代に至る着物のスタイルとして確立されていくのでした。


紅地綸子松文絞繍振袖(全体拡大画像)

江戸時代後期 156cm×124cm
 
 地綸子を紅で染め、松の文様部分を絞りで藍・若草色・白に染め分け、木の幹や枝の部分は金糸で表した絞りと刺繍であしらい、朝日を受けた松を見立てている。退色しやすい紅色が非常に綺麗に残っている、希少価値の高い振袖である。
 恐らく豪商の家に伝わった婚礼用振袖と思われる。この時代の通例として、他に白地・黒地の3点セット(三枚重ね)であった筈であろう。


紫地紋縮緬雪持御所解文様小袖

江戸時代後期 152cm×120cm

 変わり地紋の縮緬地に腰から裾にかけて雪景色の御所解文様が表されている。染を一切使わず刺繍だけで表された作風は公家の装いの影響を受けたものであろうか。つがいの水鳥が初々しく、美しい情景を作りだしている重厚な武家の一領だと思われる。


江戸時代後期 156cm×127cm

 
 平絹地を水色で染め、桐と鳳凰部分を白揚げ(文様を型染めで白抜きの柄に染め出してしまうこと)で糊防染し、部分に刺繍、摺り匹田で加飾している。元禄(1688年)の頃より用いられるようになった摺り匹田は、絞り染めによる手間を省くことができる加飾技法である。
 
この1領は振袖を切って袖を短くしたもの(振り切り)ではなく、当初より小袖として作られたのではないか(袖下部の文様が不自然な切れ型でない)。商家に伝わったものと考えられる。



江戸時代後期 167.5cm×119cm
 
 白越後の麻に、全面に施された御所解文様で藍の濃淡に染め分けられた上に、各所に刺繍が加えられた小粒の花々が、全体を気品溢れる緊張感を醸している。お仕立てもうぶで、麻が裏に付いた贅沢な武家の夏の一領である。使われた形跡がほとんど無く、当時の姿を今に残す貴重な一領であると言える。

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