インド更紗(日本古渡り)
 「古渡り更紗」と呼ばれる古い時代のインド更紗は、どこの国に運ばれたかによって「日本古渡り」、「ヨーロッパ古渡り」、「インドネシア古渡り」というように分類しております。江戸時代前期頃までに我国に渡来したとされる日本古渡りのインド更紗は、有力な大名家や茶人達に伝えられ異国情緒を楽しみながら茶道の仕覆などに使われました。
 
そのような日本古渡りの更紗の中で、今回は旧家に同種のものが伝えられるものを選びご紹介したいと思います。


白地草花獅子蛇文様金更紗(全体拡大画像)

17C 32cm×56cm
 
 超薄手の木綿に獅子、蛇、草木の風景を表し、その上から非常に純度の高い金で印金をほどこした見事な金更紗です。
 この更紗は加賀・前田家伝来の裂地の一つとされており、京都国立博物館にも同種のものが所蔵されています。寛永十四年(1637年)に三代藩主利常が裂地、茶入れ、道具類を買い求めさせるために藩士を長崎に派遣し買い求めた裂の一枚といわれ、色々なものに使われていくうちに分断されていきました。



17C 148cm×38cm

 薄手の木綿に格天井模様と幾何学模様を合わせた構成となっている。細部にまで非常に細かい線をほどこしており、高い技量をうかがうことができます。また、四角の染め方があたかも織物であるかのように染で模造しているのが大変興味深いです。
 三井家伝来の更紗にこれと同種のものをみることができます。それまで絹織物中心であった茶人達の心はインド更紗の渡来によってそのエキゾチックな色柄に魅せられたのでした。


17C 188cm×101cm

 
 一般にウンスン・カルタ模様又はタンバル模様と呼ばれている。長方形を斜め対角線で切り二つの三角形をつくり、それぞれの三角形の部分に異なった模様を配している部分。花のモチーフを描きその周りを細かい藍の細線で囲んでいる部分が融合されております。
 
井伊家に伝わる彦根更紗にこれと同種の断片をみることができますが、原形を知る上でこの更紗がこれほど大きなサイズで残っているために大変参考となるのです。



17C 81cm×80cm
 
 一般に「有平縞」と呼ばれる有名な縞模様更紗です。緑と茜の二色を太縞にその反対色の細線をしたがえた縞の配色の組み合わせが見事です。一辺が耳となっていることから、原形も耳に沿っての縦縞構成であることがわかります。井伊家の彦根更紗をはじめいろいろな旧家に伝わる同種の裂地や仕覆になったものをみることができます。
 
XX家伝来と伝えられるのは、小さな断片になっても大切にされ受け継がれてきたからでした。

▲今昔美術館TOPページに戻る