筒描
筒に糊を入れて、先端の筒金から少しずつ押し出しながら絵を描くように糊を置いて防染し染め上げる筒描は、型染と同じく米糊を用いた糊防染法である。しかし、型紙を使う型染がどのような用途にも使うことができ量産であったのに対して、一品もので大画面に自由自在描かれた筒描は、婚礼の調度品やその家具などを覆う油単、さらには実用的な夜着や蒲団皮、風呂敷などに用いられたものが多いようです。
そのような筒描ならではの迫力感溢れる表現をお楽しみ下さい。
藍地松竹梅文筒描木綿(全体拡大画像)
明治時代 163cm×127cm
言うまでもなく、吉祥文様の代表である松竹梅。厳冬の寒さに耐える松・竹・梅を高節の士のたとえとして貴んだ、中国の三友思想に基づく意匠。日本ではより吉祥性を高めて、古くから好まれてきました。松は不老長寿を、竹は節操を貴ぶ高潔、万花に先駆けて咲く梅は清らかな高貴性を賞する。
四巾の木綿に描かれたこの筒描は、裏に綿がついていることから蒲団皮として使用されたていたものです。 |
明治時代 165cm×126cm
同じく蒲団であった四巾の筒描。描かれている中国の伝説上の鳥「鳳凰」は、天下太平の瑞鳥として尊ばれ多くの文様に表わされている。梧桐に棲むとされるため、意匠として表す場合には、桐と組み合わせることが多い。
筒描は同じ糊防染法の型紙を用いる型染に比べて、絵画的な文様を自在に表すことができる。写実表現よりもむしろ筒糊の太い線を生かした大胆で素朴な図柄に味があり、庶民の感覚が読み取れて面白い。 |
明治時代 198cm×157cm
五巾の木綿に描かれたこの筒描も蒲団として使われていました。文様である「貝桶」は王朝の遊戯具、貝合わせの貝を入れる桶を意匠化したものです。貝合わせの二枚貝は元の貝とのみ整合するところから、夫婦和合になぞらえて婚礼調度に用いられました。
桶の側面に松に鶴の文様を配してより一層の吉祥の意をこめています。また装飾性豊かな工夫がこらされており、日常の暮しを華やかに彩っていたようです。 |
明治時代 150cm×126cm
四巾の木綿で風呂敷として使用されていたこの筒描は、対角線で萌黄と茶に染め分けている。萌黄地には家紋と竹梅、ふくら雀を、茶地には松と宝尽しを描いている。「宝尽し」は本来中国のさまざまな宝物を並べた文様を次第に和様化したもので、ここでは宝珠、打出小槌、隠蓑などが見られます。
これらのような筒描を見ていると、庶民の普段の生活の中に込められた想いが感じられてくるようです。日本の民画と言われるゆえんなのでしょう。
|
▲今昔美術館TOPページに戻る
|