インドネシアの染織(ジャワ更紗)
 ジャワ更紗は、インドネシア語でカイン・バティックと呼ばれており、カインは「布」、バティックは「ロウケツ染め」を意味している。現在では世界的にジャワ更紗=「バティック」の名で広く知られています。ジャワ島を中心としてつくられてきたジャワ更紗は、基本的に製作地域の違いから中部ジャワ様式とジャワ北岸様式に区別されてきました。
 
そのようなジャワ更紗の中から腰布として使用されたもので特色の違うものを四種選んでみました。


白地花唐草文更紗(全体拡大画像)

19C 239cm×150cm
 
 中部ジャワ様式の更紗は、ジャワ文化の古い伝統が息づくジャワ島中部のソロやジョグジャカルタの宮廷を中心として発展を遂げ、主に腰布、胸布、頭巾など格式のある伝統的な衣装として用いられてきました。
 茶褐色を基調とした色彩は、中部ジャワ様式の更紗の特色です。ソガの名で総称される数種類の染料植物を混ぜ合わせた茶褐色系の混合染料を用いるソガ染めは、17世紀初頭に始まったとされています。



19C 193cm×105cm

 ジャワ島北岸のほぼ中央に位置する港町プカロンガンでは、1850年頃から華僑、インド人、ヨーロッパ人、そしてジャワ人など、様々な国の人達があいついでジャワ更紗の工房経営を始め、次々と新しいデザイン感覚の更紗が生み出されていきました。
 花文を主体として鳥や蝶を配すデザインは、当時ここに住んでいたヨーロッパ系の女性達の工房からつくりだされたものであり、今日においてもジャワ北岸様式を代表するものとして有名です。


19C 226cm×123cm

 
 ジャワ島北岸の港町チレボンでつくられた更紗には、他に類例を見ない独特のデザインのものがある。何れもジャワ北岸様式に大きな要素をしめているヨーロッパの影響をほとんどうけていないのが特色です。
 
藍一色で全面にアラビア文字をあらわしたこの更紗もイスラムの聖地の一つ、この地で製作されたものである。腰布としての他、メッカに向って行なわれるイスラム教徒の礼拝の際の敷物や壁飾りとしても用いられました。



19C 264cm×110cm
 
 スマトラ島、中でもジャンビにおいては、ジャワ北岸様式のうちでも特徴のある色彩と模様の更紗がつくられていた。しかし、それらと同様の更紗はジャワ北岸の都市でも製作され、スマトラ島に大量に供給されてきました。そのため今日では、スマトラ島で使用された更紗のうち、ジャワ島北岸かスマトラ島のどちらでつくられたものか特定することができないものが多くあります。
 
両側を鋸歯文ではさむ模様構成はジャンビの腰布に共通したものです。

▲今昔美術館TOPページに戻る