上布
夏の着物の素材として欠かすことのできない麻は、水分の吸収発散が早く熱の伝導性に富んでいるため、夏は涼しく爽やかな着心地が特徴的です。中でも上布は、苧麻(ちょま)と呼ばれる麻の中でも特に柔らかい繊維を用いた織物で「上等の布」という意味あいがあります。
そのような上布の主な産地をご紹介しながら、ご覧いただければと思います。
紺地亀甲に十字絣文越後上布着物(全体拡大画像)
大正時代 152cm×124cm
越後上布の歴史は古く奈良の正倉院に「越布」として今も保存されていることから、1200年以上も前より塩沢地方において生産されていたことが推察できる。日本有数の豪雪地帯であるが為に冬場の貴重な仕事として、手作業による「職人の技」が今日まで伝承されている。
苧麻の茎の皮を手で紡ぎ、居坐機(いざりばた)で亀甲の中に十字を入れた文様を絣織っている。最後は雪にさらして仕上げるのが特徴です。 |
大正時代 147cm×127cm
宮古上布も苧麻を原料とする麻織物で15世紀頃から織られていたと考えられている。これが藍染めの紺上布として完成したのは1583年琉球の尚永王に献上された「綾錆布(あやさびふ)」が記録に残る最初のものだそうだ。
砧打ち(きぬたうち)と呼ばれる、糊をひきながら木槌で反物の表裏をまんべんなくたたく仕上げ作業によって、宮古上布独特のツヤが出るのです。 |
明治時代 142cm×125cm
滋賀県湖東地方より産する麻織物。苧麻糸の他に大麻糸も使われる。愛知川の豊かな水と高い湿度といった環境から、鎌倉時代の頃からこの地で織られていたという。江戸時代になると近江商人の活躍と彦根藩の振興によりさらに発展し、安定した地場産業となりました。
これは大麻糸を用いた白地茶絣である。経絣で幾何学文様の絵柄を表した典型的な近江絣である。 |
大正時代 149cm×127cm
今からおよそ2000年以上も前、崇神天皇の皇女がこの地に滞在した際に 機織りを教えたことが始まりと伝えられている。元禄年間には、鹿島郡・羽咋郡の女子の主要な副業として織られ、近江商人によって販路が開かれていきました。
細やかな幾何学文様の紺絣であるが、正確に織り出される十字絣に特色が見られます。
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